第2回シネマシティ劇場ツアーレポート
99年1月 24 日 立川シネマシティの劇場ツアーに行ってきました。
5/200 という高倍率の中を、なんとも運良く当選することができましたので、
その日の模様をレポートしたく思います。
ただ、百聞は一見(一聴)にしかず、のものですので機会あれば是非参加してみてください。
(この文章は1999年1月に書いたものです。現状と異なる点があっても、あえて手を加えていません)
1. 集合
朝 7:50 の集合。朝早いので前の日は早く備えたけどやっぱり眠い ^^;;
劇場前に行くと、何とチケットブースの前には既にチケットを求める人の列が......
横目に見ながら集合場所の2階、City1 へ。
参加者は私を含め6人。マニアっぽさでは私がイチバンかな?
2. 2階( City1 )
DCS採用館。全館共通仕様ですが、上映中の完全消灯のお話。グレイの壁は映写効果のため
だそうです。 City1 は City2 よりも新しくチューニングされた劇場なので、スピーカ容量も大きく
したりしているそうです。
DCSについては、映画作品毎に音を作り込む作業をされているそうです。
「音を作る」と表現されているあたり、City2よりも劇場側の音響表現に力が入っているように思えました。
3. 8階 (City5 & City6)
ロビーの日比野克彦さんのペインティングを鑑賞。
そう言えば、何回も来ているのに丁寧に鑑賞することがなかったような気がします。
抽象的なデザインなのは固定的なイメージを与えないようにするためだそうです。
City6
他と異なるカップルシート、私にはあんまり関係ないか^^;;
イベントにも使えるような仕掛けがあって、
前の方の椅子は畳んでステージにすることができる、
ということで、畳んで見せてくれました。
後方にはミキシングルームがあるそうです。
City5
後方の小さなウォールスピーカは壁の残響を計算して配置したそうです。
4. 6階 (City3 & City4)
City4
“お花畑”と称する座席はスペイン製の特注の椅子だそうです。
スクリーンは音の通りを良くする穴があいた「サウンド・スクリーンサニーシルバー」
を全館採用とのこと。
そういえば、 City5 なのでは、スクリーンの穴が良く見えることがあります。
City3
椅子が角張らせてあるのは吸音をよくするため。
逆に City5 は角を丸くして音のヌケを良くしているとのことです。
椅子の形には音響の配慮があったのには驚きました。
5. 5階
事務所(コントロールセンター)
チラシ、パンフレットが置いてある廊下を抜けると事務所に出ました。
壁側にモニターが6劇場分横に並んでいました。劇場の他ロビーやチケットブース等もモニターするそうです。
死角が無いようにモニターカメラが設置されているとのことで、普段の私の素行の悪さがバレているかも!?
編集室
細長い狭い部屋でした。片側の壁側には上映作品のフィルムと予告編フィルムが沢山置いてありました。
フィルムの缶には音声方式(Dolby SR 等) が書かれていました。
反対側には編集機があってフィルムの繋ぎの実演を見せていただきました。
シネマシティ発行の Cinemacity look 6 にも以前紹介されていたので、
だいたいわかっていたのですが、実際に見ると面白いです。
繋ぎ目に厚みが出来たりしないようにするには編集者のワザが必要、とか、
コンピュータ制御、デジタル、システマティックで有名なシネマシティの割には
この辺がアナログ的な職人芸というのが面白いです。
映写室
私も20年以上も映画館通いをしていて、映写室には初めて足を踏み入れました。
しかも THX 認定のCity2 ですので、感激もひとしお。
「ニューシネマパラダイス」のトトみたいなもんです。
映写室は意外にも狭く、映写機2台とアンプ等の音響設備でいっぱいという感じです。
映写室もTHXの規定があるということで、映写用の2重ガラス、
音響機器のラックの組み方まで指定があるそうです。
プロセッサに大きく “THX”のエンブレムが光っているのがかっこいいです。
映写機は1.2メートルくらいの大きなリールがある映写機、もっと大きなものを想像していたのですが、
意外とコンパクトでした。音声については、映写機上方、レンズのすぐ近くにDolby Digital の
読み取り装置、すぐ近くに dts のものがありました。
アナログについてはシネマシティの映写機では、ハロゲンランプを使わずレーザーを使用しているそうです。
こちらの方が読み取り精度がよいそうで、アナログの音のよさもこの辺に起因するのかもしれません。
映写はチャイムからスクリーンサイズ変更、映写切り替え、終了、巻き戻しまで
すべてコンピュータ制御。
6.そしてついにTHXシアター!
City 2
いよいよ THX 劇場です。
壁の吸引材のお話がありました。
空調が動いていても音がまったくしない。10人ほどしかいない場内では、
雑音がまったくない状態がよくわかりました。
THX認定に当たっては、他のTHX劇場ではすべてアメリカスタッフが設定を行ったのに対し、
シネマシティの場合は日本技術者で、劇場、音響の設定を行い、
Lucas Film 側が来日してチェックする方法をとったということです。
他のシネコンに比べなじみやすさがあるのはあくまで日本人設計にこだわっているから
かもしれません。
音の調整
音量については入場者数によって変えているそうです。
満員時の音量を小人数時に使用すると鼓膜が破れるくらいうるさい音になるそうです。
DCS の City1 では入場者数によって、音量ではなく音質を変える、
また、アニメ等で子供が多かったりするときは高域上げる等するそうです。
5.1 chの チェック音声のデモ。
RL , RR , SW , L , R , C
と順にそれぞれにチェック用の音を流します。
中でも非常に興味深かったのが、リア側の音。10台近くのスピーカを並べて鳴らしても
隣のスピーカの干渉をしない、ひとつの音しか聞こえないのです。
デモフィルム
映写によるデモです。
◎SRDトレーラによる音響比較
MONO,アナログSR,SRDの比較ということで、
SRDのトレーラ(映画の頭につく音響のデモフィルム)を上記3方式で、上映。
(MONO,SR は「トレイン」ロングバージョン、SRD のみ「トレイン」ショートバージョン)
City2 では SRDのトレーラが付かないので(THXトレーラがつくので)初めて City2 で
見る(聴く)トレーラはやっぱり素晴らしいの一言。
各方式の音の鳴り方の違い、というのも明確なのですが、
もっと驚いたのが、モノラルの音の素晴らしいこと!
SRDやSRの音は何度も劇場に足を運んで聴いているので、何度も聴いた予想のつく
音なのですが、モノラルの音は今までいろんな劇場で聴いた音の中で最高の音でした。
SRDの比較のための音で、当然、ステレオ効果も音域も無いわけですが、
上手く鳴らせばこんなに良い音がでる、というのが驚きでした。
◎THXトレーラ全バージョン一挙上映
THX劇場ならではのお楽しみTHXトレーラ全6バージョンの上映。
Broadway , Cimarron , Grand , The Simpsons , Tex , Tex2-Moo Can
私も結構見ているもので全バージョン見覚えがあります。
特に「Cimarron」は以前1回見てお気に入りだったのに、その後
遭遇できなかったので、久々に見ることができました。
◎「スター・ウォーズ エピソード1」予告編
THXといえば、「スター・ウォーズ」ということで。
説明ではこの予告編の音は余りよくない、ということ。
(確かに私も SRD バージョンのこの予告編を見ても余り良いという感じがしませんでした)
夏の本編上映時は DOLBY DIGITAL SURROUND EX で上映して
予告編の何百倍も良い音になることでしょう、ということですので、思いっきり期待して
待つことにしましょう ^^
◎ DOLBY DIGITAL SURROUND EX は全館で設置予定だそうです。
機材追加、配線変更、音響テストで結構手間がかかるそうですが、
設置するそうです。非常に期待したいところです。
7.映画上映
映画の方は同 City2 で第1回目の「アルマゲドン」(SRD)。
予約席というところに座らせてもらいました。
幸か不幸かこの作品、劇場招待券をもらった関係で、昨年末、都心の某大劇場で観て
非常に後悔した覚えがあります。
はっきり言ってまったく音が違いました。音の表現がまったく違い、特に音の輪郭の
際立ちが全然違いました。
やっぱり都心なんかで観てちゃいけませんね。
8.最後に
「アルマゲドン」が終わってアンケートに記入して楽しかった鑑賞ツアーは終わり。
シネマシティには何百回と足を運んでいるので、音の良さ、とか劇場内の工夫なんてのも
わかっているつもりでしたが、改めて見て説明していただくと細かな所に目の行き届いた
良くできた映画館だと思います。
そもそも裏側を見せちゃおう!なんて企画自体、自信の表れなのでしょう。
私にとっては昔「スターウォーズ」をテアトル東京のスーパーシネラマ、磁気6chで観て以来、
映画は映画館で、映画館のクオリティは大切、ということで、いろんな映画館を訪ね歩いて
立川に落ち着いた経緯があります。「スターウォーズ」新作公開を控えたTHX のハイクオリティ
の劇場をみられたのは本当に嬉しい限りです。
これからも立川の発展を期待すると共に、立川に追いつき、追い越すようなハイクオリティの
劇場の登場にも期待したいところです。
Thanks to シネマシティ株式会社
written by movie@holysnow.com
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